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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(ブラックウッド)

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 流石に最初のCMで「喋るアライグマ」を観た時にはドン引きしてスルーしてました。

 こちとらそこまでアメコミファンでもないけど、別に漫画の実写化に理解がないわけではなくてむしろ積極的に応援したいところ。
 ただ、それにしても限度があるだろと。

 うめき声しかあげないチューバッカならともかく、「ジェダイの復讐(現・帰還)」でカエルみたいなのに指示されたりするのは結構抵抗あったくらいで。

 とはいうもののあまりにも評判がよく、続編の公開も迫っているということでこれは観ない訳にはいかないだろとレンタルにて鑑賞。

 結論を先に言うと…面白かったです。100点中80点くらい。間違いなく面白かった。

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 まずいい点を並べますと…とにかくテンポがよくて一切のダレ場が無いこと。

 軽いアクションがあったら「ああ、しばらくお休みモードだな」となるもんなんだけど、流石はこの頃の観客の生理にあった映画ってだけあって、本当に休まない。
 これ、そこまでのネタバレにならないと思うので言っちゃうけど「脱獄計画」の計画を練っていたらその場でいきなり始まっちゃったりとかね。

 「いい話」に流れそうになるとまるで「突っ込み」が入るかのごとく交ぜっ返すドライな感じとか。

 また、大予算のかかった超大作だけあってビジュアルの贅沢さはひと目で芳醇な予算がかけられていることが一目瞭然。CGはもちろんのことセットにも一切手を抜かないすごさ。
 カラフルな「宇宙人」が当たり前のように画面いっぱいに交錯するこの感じはちょっと懐かしいかも。

 そしてなによりPOPで陽気!コミックの映画化っていうとどうしてもシリアスでダークなのが重々しくていいみたいな風潮があるけど、そんなもん知ったことかと言わんばかりのノリ。

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 マイナーすぎてアメリカ人すら殆(ほとん)ど知らなかったらしい原作を「強み」に変えて、「誰もが知らない状態からスタート」というこの頃の映画でよくやってる「リブート」…要するに「ここから観れば大丈夫ですよ」…を最初から仕掛ける気満々。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/コンプリート・ヒストリー
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/コンプリート・ヒストリー

 おそらくこのあたりを汲んでなんでしょうね、ライムスター宇多丸氏も絶賛してます。



 盛んに「新時代のスター・ウォーズ」なんて表現を乱発して褒める褒める。

 ただし!ちょっと申し訳ないけど異議を申し立てたい。
 文句なく楽しい作品で、好きか嫌いかで言えば間違いなく好きな作品ではあるけど、「スター・ウォーズ」と並べ立てるのは流石に「ひいきの引き倒し」だと思います。



 難点指摘スタート。

 「古い音楽引用」

 正直、この頃多様されてきた趣向です。なんといってもリドリー・スコット監督の「オデッセイ」でしょう。

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 音楽の歌詞を劇中とリンクさせる手法は特に珍しいものではないのですが、この頃はそれを「敢えて」かなり古い…70年代のヒットソングあたりを使う手法が流行しています。

 上記にリンクを埋め込んだ宇多丸氏のラジオにて「音楽の意味する文脈が分からないので楽しめなかった」という投書が来ていて、宇多丸氏がそれに対してカンカンに怒るくだりがあります。

 実はこれ、私も全く同意見。

 若者と言える様な年齢ではないのですが、少なくとも盛んに引用される楽曲が古すぎて…しかも洋楽!…馴染みが無いという意味では全く同じ立場です。

 要するに、劇中の登場人物たちがこれみよがしに「いかにも古く聞こえる」音楽に乗せて踊りだしたり、歌詞のイメージに合わせて物語を展開するたびにハッキリ感じるのは「疎外感」でした。

 「嗚呼、自分たちはこの映画の想定してる観客じゃないんだな」と。

 もっとハッキリ言えば「ある年代の観客と製作者たちだけが、自分たちだけ勝手に盛り上がって楽しんでる」様に見えるんです。

 例えば!例えばですよ。ものの例えですからね!
 とある反政府レジスタンスを主人公に据えた映画で「ハッピー・マテリアル」が流れたとしますね。



 これはある世代のオタクには物凄く高揚する楽曲なわけです。
 なぜかというと、まだまだ「アニソン」の地位が低かったころ、とある歌手がレコードショップで自分のCDと「アニメの主題歌」などという「くだらないもの」が一緒に並べられていることに憤慨し、「こんなものは世の中から消えてなくなって欲しい」と発言するという「事件」が怒ります。
 オタクがある意味偉いのは、そこで「それなら週の売り上げで1位になって、普通の音楽番組で紹介せざるを得なくしてやる」として「ハッピー・マテリアル」を猛烈に買いまくる運動…というのを起こす訳です。
 残念ながら結果的に無残な大失敗に終わり、オリコン1位どころか5位と大惨敗し、普通の音楽ファンどころかアニメを好きではないオタクにすら失笑、嘲笑される結果となります。
 その後、所謂(いわゆる)「アニメソング」がオリコン1位を獲得するのは水樹奈々が紅白歌合戦に出場した後まで待たなくてはならないのですが、それはまた別の話。

 こういった「背景」は確かにあるんですが、突然劇中で萌え萌えソングにしか聞こえない「ハッピー・マテリアル」が掛かっても背景を知るオタク以外は「ぽかーん」とするしかないでしょう。

 「ハピ・マテ」の歌詞って本当に歌詞だけ取り出して悲愴な曲調にして映画のクライマックスに流したら号泣するほど素晴らしい歌詞なんですよ。でも、下手な萌えソングにしか聞こえない人が大半でしょう。

 「文脈が分からない」というのはそういう意味なんです。劇中で突然掛かる「懐かしい(のであろう)音楽」で「どういう感情になるのが正解なのか」がピンと来ないのでひたすら困るばかり。

 まさか「懐メロはよくてアニソンが駄目」とは言いますまい。それこそ差別でしょう。

 宇多丸氏がそれに反撃を試みるんですがこんな事を言ってます。

「違う!そんな堅苦しいことを言うな!疎外感なんか感じる必要なんてない!ただいい感じの音楽が流れてるだけなんだから素直に楽しめばいい!大体「スター・ウォーズ」だって始終オーケストラが流れ続けるのは「当時の映画音楽としては異端」だったんだ。この映画の音楽の使い方がちょっと特殊に聞こえるのは仕方がないだろ」

 まあ、言わんとすることは分からないとは言いません。

 言いませんが、「違和感」を感じた時点で「失敗」してます。

 例えば「2001年宇宙の旅」の「ツァラトゥストラはかく語りき」は「何だかよくわかんないけど壮大な感じ」には聞こえたわけで、「文脈」どうこう関係ないわけです。

 もっと言えば「時計仕掛けのオレンジ」の中で、

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主人公のアレックスが、「雨に唄えば」を朗々と歌いながら老人を蹴りまくるという不謹慎極まりないシーンだって凄まじく効果的なわけです。

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 しかし、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で流れてくる「ナツメロ」は…嗚呼、こんな表現は使いたくない…けどはっきり言えば

ダ サ い

わけです。
 格好良くない。古い。

 宇多丸氏は、軽くはっきり言えばふざけたノリで出て来るタイトルロゴを飛び上がるほど喜んで、「何でお前らはこの良さがわからんのだ!」と絶叫してるわけですが、申し訳ないけど典型的なムービーゴア(映画マニア)。それも、酔っ払って後輩にくだを巻きながら自分の好みを押し付ける最悪の映画ファンにしか聞こえません。

 そりゃ「スター・ウォーズ」のクラシックは「当時の流行には外れていた」かもしれないけど、物凄く大事なことを忘れてます。
 それは「ムチャクチャ格好良かった」ってこと。



 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は文句なく楽しい作品ではあるんだけど、決定的に欠けてるのがこの「格好良さ」だと思うんです。
 重々しさは時に根暗で退屈になるけど、「爽快感」に繋げるためには「タメ」が必要。絶対に必要!

 最後に強大な敵を倒して「やったー!」になるためには「嗚呼!もう駄目だあ!おしまいだあ!」と「絶望的なシチュエーション」で「悲壮感」を漂わせないとダメじゃない。

 「スター・ウォーズ」だって一緒に行った人たちは次々に撃墜されちゃって「もう駄目だあ」になるじゃない。

 でも、この映画の登場人物たちは基本ふざけたノリだから「悲壮感」とは縁遠いもの。それが悪いとは言わないけど、「このふざけた連中すらマジにならざるを得ない」シチュエーションに追い込めてたとは思えないなあ。

 ネタバレになるから詳しく書けないけど、ラストのあれは一体なんなのか。いや、そのシーンの「後」にちょっとした補足説明みたいなのはあるけど、予(あらかじ)め「論理」を説明してくれてないから「根性で乗り切った」みたいにしか見えない。

 お膳立ては十分すぎるんだけど、エモーション(感情)を載せきれてくれなかったなあ…って感じ。
 年を取って映画なんかじゃ泣けなくなってるかって言えば「ベイマックス」はちゃんとウルッと来たから決してそんなことない。

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 決してこき下ろす様な映画じゃないんだけど、もう少し!あとちょっと何とかなんないかなあ…とモヤっとする映画でした。

 続編に一応期待。

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