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映画「美女と野獣(2014年)フランス版」感想(黒家カイミ)

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【美女と野獣(2014年)】
2014年 フランス、ドイツ合作 /監督:クリストフ・ガンズ  出演: レア・セドゥ、 ヴァンサン・カッセル 

日本テレビ系列『金曜ロードSHOW!』で地上波初放送されたフランス版「美女と野獣」を観た感想です。

カットが17分程あるみたいなので、どの部分をカットしたのかは気になるものの、今後レンタルして借りるかな?と考えるとそこまで至らなさそうなので感想を書きます。


どうしてもディズニー版「美女と野獣」のアニメを何回も観て育ってしまったので、モチーフは同じでも全然別の物語として捉えるように心がけて視聴しました。でないとフランス版が可哀想なので・・・。

元々、フランスに伝わるおとぎ話を、ディズニーが同じモチーフを使いながらも、ディズニーオリジナルの話にしてると聞いてたので、仏版ではどんなおとぎ話になってるんだろう、とワクワク。

ボーモン夫人の原作がわかりやすくて有名ですね。

美女と野獣 (新潮文庫)

新たな解釈をしてる、ってテレビの宣伝で言ってたけど、新たな解釈をしてオリジナルストーリーを作ったのは、ディズニーなのでは・・・と思いつつ受け流しました・・・。

皆、ディズニー版こそ「美女と野獣」というイメージになってるし、私もそうですから・・・。

・・・見た結果から言うと、私はフランス版の映画のストーリーはボーモン夫人の原作にそっているものの、演出や付け加えられた設定に納得いかず、それが積み重なって退屈な作品だな〜と思いました。

以下、ネタバレに触れてますので、ご自身の判断で読んでくださいね。

まず、王子の過去と野獣になった原因が、「なんでそんな設定?」と引っかかりました。

ベルは夢の中で野獣になった原因を知るんですよね。

=以下、ベルの夢の中==

かつて王子は結婚していた(!)。

狩りの好きな王子は、王女との約束を破り黄金の雌鹿狩りに行ってしまう。雌鹿を仕留めたら、雌鹿が王女の本当の姿だった(!!)。

王女の正体は森の精で、人間の姿になり王子との愛を育んでいた。森の精である王女は父親である森の神に「王子を許して欲しい」と告げ息絶えるが、森の神は王子を許さず、後悔する王子と王国に呪いをかける(!!!)。

王国はバラに覆われ、王子は野獣に姿を変えられてしまう。

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映画見ていて、いきなり王子の仕留めた鹿が裸の王女の姿に変わってビックリ・・・。

それで王女が「私は森の精」とか言い出したので、困ってしまいました。

これ、何の話だったっけ?美女と野獣の話だったよね?

・・・と、自分が何処にいるのか分からなくなりました。

それと、もしかしたらカットされた17分にそういった描写があったのかもしれないけれど、ベルと野獣があまり心をかよわせているような(仲が良くなっていくような)描写が無かった。

最後にいきなり「私も好きよ」となって野獣が王子の姿に戻りハッピーエンド・・・というような印象だった。私だけかしら、そう思ったのは。

どうしてそう思ったかと言えば・・・

例えばダンスシーンでは「家族の元に一度返してくれるなら」という『条件つき』で踊ったダンスで、しかも家族の元には返してくれず(最終的には返してくれるのだけどね)、怖くなって逃げ出したベルは割れた氷の中に落ちて気を失うし(その後、手当してくれるにしても怖えーよ!!)。

私の印象では、野獣が一方的で怖くて、好きになる要素は(夢の中での真相を知ったとしても)無かったです。

王子役のヴァンサン・カッセルはカッコいい人なので生かされておらず残念。

映画を作る側は役者さんの年齢いってるのを生かして、

ダンディーで優しい面とかさ、

年相応の知性とかさ・・・・、

そういった『大人の魅力』ある野獣の演出をしてあげれば良かったのに。

私がこの映画を観た印象では、乱暴でワガママなオジサン野獣が若い美女に一方的にアプローチして、射止めたような印象でした・・・。

男女の仲なんて、当事者にしかわからんのよ・・・。

と言えばそれまでですけど、映画では納得いく演出があった方が物語として楽しめます。


ここまでは面白く無かった所ばかり書きましたが、良かった所もあるんですよ。

冒頭、お母さんが子供におとぎ話をする形で物語に入っていくのは良いなと思いました。(最後に物語と思ってたのが語り部自身が実はベルだったというのも良かった。)

この映画全体の景色がとても美しく、フランスの田舎の家、田園風景、建物の中の造形、繊細な絵画作品を見ているようでうっとりしました。ストーリーとしては納得いかなかったけど、美術面では、背景資料として映像を保存しておきたい位きれい。野獣の住む城の風景など全ての風景が部屋に飾りたくなる位に魅力的です。そういった意味では、DVD買っても良いかもしれません。

ベルの衣装も豪華で沢山着替えてたので良かった。フランスは当時の時代の衣装の造形に忠実(ディズニー版はアニメのイメージで、ドレスを軽やかな素材にしていた)で、重厚で豪華絢爛な感じでした。
日本人の目から見ると、ドレスの胸を寄せて上げすぎてるし胸が半分位見えてるのが気になったけど、これも当時の流行に忠実に作った結果なのかな?
昔の貴族の肖像画も、こんな感じですもんね。

ケモナーとしての野獣の造形は、やはりディズニー版実写映画が一番カッコ良いですね。

フランス版の野獣は絵本から出てきたような造形で、これはこれで映画全体が「絵本のおとぎ話のような世界観」だったので、合ってると思いました。あんな野獣、どこかの挿絵で見た事あるぞ、という印象でした。

見た目は100点満点の映像美術、ストーリーは・・・うーん・・・。でした。

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