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映画「プライベート・ライアン」感想(黒家カイミ)ブラックウッド追記

プライベート・ライアン.jpg

【プライベート・ライアン】
1998年 アメリカ /監督:スティーヴン・スピルバーグ  出演:トム・ハンクス、マット・デイモン


ブラックウッドが映画「この世界の片隅に」の感想で、「特に破片がひゅんひゅん飛んでくる迫力は映画館で見るべき!ある意味日本の『プライベート・ライアン』だと思う。」と書いてたのを読んで観ようと思った映画です。

「この世界の片隅に」と言われると捨て置けない私・・・・そういえば未見だった映画「プライベート・ライアン」をレンタルで視聴しました。

残酷描写がすごくて有名な作品です。グロ耐性が無い人は絶対観ないでくださいね!

たしかに破片が飛んでくる音とか、「この世界の〜」と似てたかな・・・。
ある意味(戦争描写のリアル感)では、似てる部分もあるかも・・・。



では感想を書きます。
ネタバレありなので、映画を観てない人は、以下ご自身の判断で読んでください。




こういった実話をもとにした感動的に終わる作品を前に、こんな感想を書いていいのやらどうか迷いましたが、あくまで私個人の率直な感想です。怒らないでくださいね・・・。

なんだかピンとこない。

第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦を舞台に、1人の兵士の救出に向かう兵隊たちのストーリーなんですけど、この設定がしっくりとこなく、そのまま映画を観終わってしまった感じ・・・。

ライアン2等兵は、彼以外の兄弟が全員死んだからという理由で(親に跡取りの子供を残してあげたいと理由)助けに行くことになったのだけど。
本当に助けにいくの!?とビックリしました。
なんだか、すごく余裕ですね・・・戦争中ですよ!?
本当に勝ち戦で助け出すのに余裕ある場所に行くのかな・・・と思ったら、ライアン見つける前に死傷者が出るし。呆れてあいた口が塞がりません。
その死んだ人にも、家族や恋人がいるでしょーよ。

そしてライアンを見つけたら、「帰らない」っていうし。祖国の為に戦ってるし、人手不足で仲間が困るし、ライアンが一番マトモなんですけどね。

で、そうこうしてるうちに増える死傷者・・・(こんな任務で死んで、本当にかわいそう)。

なんとも不可思議な設定に最後までついていけませんでした。

気になったので、Wikipedia(プライベート・ライアン)で調べてみました。
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ナイランド兄弟
本作のストーリーは、ナイランド兄弟の逸話が基になっている。
ライアン二等兵のモデルとなったフレデリック・ナイランド三等軍曹には、エドワード、プレストン、ロバートの三人の兄がいた。フレデリックはDデイ初日に、輸送機パイロットのミスで予定の降下地点からかなり離れた内陸地点に降下してしまい、なんとか原隊に復帰したところ、部隊の従軍牧師から3人の兄全員が戦死したと告げられた。国防省のソウル・サバイバー・ポリシー(巡洋艦「ジュノー」に勤務していたサリヴァン兄弟が、ジュノー撃沈によって全員死亡したことを受けて制定されたルール)に基づいてフレデリックは前線から引き抜かれ、本国に送還されることとなった。
フレデリック本人はそれほど帰国したかったわけではなかったらしく、しばらくは部隊と行動を共にしていたが、従軍牧師が書類を提出してしまったため、上層部に認可された後は帰国するしかなかった。帰国後、彼は終戦までニューヨーク州で憲兵として勤務している。
映画と違いフレデリックが原隊に自力で復帰した事からも分かるように、救出隊が組織されたという事実はない。

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最後の行、読みました?

救出隊が組織されたという事実はない。

実話に変わった設定入れるから、しっくりとこないんですよ〜。

「救出隊」の設定自体を根本から変えた方が良いと思います・・・。

しっくりこない理由がわかってスッキリしました、良かった〜!

なんで、なんで、この映画がアカデミー賞11部門にノミネートされたのかわからない・・・。
(最終的には監督賞、編集賞、撮影賞、音響賞、音響編集賞5部門受賞だったようです。音響は、納得ですね。やはり作品賞はとれなかったようで・・・。)

この映画、Wikipediaによると1998年の全米年間興行成績1位を記録するヒット作となったそうです。
そして全世界年間興行成績でも「アルマゲドン」に次ぐ2位を記録しているらしく。

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ああ〜。「アルマゲドン」に次ぐ・・・なんだか、納得(爆)。


アメリカ人はこの2つの映画に「?」とならなかったのね・・・。

私は「?????・・・??」くらいなりました・・・。すみません。

・・・いや。これは「好み」の問題かもしれませんね・・・。



個人的に、第二次世界大戦時代を描いた戦争映画としては2014年のアメリカの戦争映画「フューリー」の方がずっとずーっと感動的でした!
これは本当におすすめです。本物のティーガー戦車も登場しますし!
ウォーダディー(ブラピ)カッコ良いし!

フューリー [Blu-ray]
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それと、「プライベート・ライアン」の残酷描写がすごいのは・・・たしかにそうなんですけど、兵士が負傷して内蔵出たり、怪我したりするのは当たり前といえば当たり前な話で。戦争って、怖いですよね。

・・・しかし、私(女)が戦争で戦う可能性が低いせいか、他人事のようにも感じてしまうのです。男性の方がこういった「兵士だけにフォーカスされて描かれた」戦争映画を観て感情移入してしまうでしょう。途中、民間人の子供も出てくるけれど、子供や女性が死ぬ描写は劇中なかったような・・・。


女の私にとってもっと悲惨なのは、民間人が巻き込まれ殺されたりレイプされたり、戦争から帰った兵士が精神的に狂ったりトラウマを抱え苦しんだりすること。

上記で書いたことが描かれているのが、ベトナム戦争中に起きたアメリカ陸軍兵士による戦争犯罪を題材にして1989年に製作された「カジュアリティーズ」。
救いようのない、心にズシン!とくる重た〜いお話なのですが、「戦争って本当に恐ろしい」と戦慄します。

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・・・こんな暗い映画を学生の頃に観に行って、衝撃を受けました。レイプされ殺されるのがベトナム女性(同じアジア系)なもんで他人事とは思えなく・・・。
観た後に映画館の受付の人に「次回はもっと明るい作品を上映するよ♪」と励まされた思い出がある・・・(暗い顔してたんでしょうね)。なかなか再度観る気はおこらなかったのですが、観てよかったです。たまになら再度観てみるのもよいかも。


まとめ。
「プライベート・ライアン」は、特に音響が迫力あってすごかったと思います!
ストーリーは、もっと実話に即したものの方が(私は)良かったかな・・・と思いました。
戦争映画といったら・・・と引用されることも多い映画ですので、一度は観ておいてソンは無い映画だと思います。



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*****

ブラックウッド追記

かくいう私も「救出隊」の行動原理がビタイチ納得出来なかった派。

とはいえ、実は似たようなルールは各国にあることはあります。

例えば我が国は「跡取りとなる長男」は基本的に前線に送られません。行くのは次男以下。これ知らない人が案外多いんですが。

とはいえ、情勢が切羽詰ってくると「学徒動員」までやります。これは最高学府である大学生まで前線に駆り出す状態で完全に国として末期状態。長くありません。

というのは大学生…学生というのは正に「国の宝」であって、将来を担う彼らまで消耗品にせざるを得ない状態というのは完全にただ延命しているだけ。

「機動戦士ガンダム」の終盤において、遂に学徒動員に踏み切ったジオン兵が明らかに幼い顔で「か、母さん!」と言いながら爆死する場面はこういった演出なんですね。


まあ、それはともかく「最後の兄弟を前線に送らない」くらいならともかく、最前線で戦ってる一兵卒を救出しに行くという設定はいくらなんでも無理ありすぎ。これが大統領だの暗号解読の鍵となる重要人物というならともかくね。

スピルバーグ監督はこのモチーフが好きらしく、第二次大戦時代を扱った映画ということでいうと

「1941」があります。

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なんといっても「シンドラーのリスト」

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がありました。「バンド・オブ・ブラザーズ」もそうか。

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まあ、方々で指摘されていることですが、この映画「語り」からスタートするのにその人物が途中で死んじゃうので、映画の開始時と終了時で「モノローグ」してる人が違うというデタラメなことになってます。

こんな脚本を書いたら映画学校の生徒だったらボツを食らうでしょう。

こういっちゃ何ですが、演出としてもタルくて何だかダルかったです。確かに冒頭のシーンの臨場感とかものすごくて、実際にあの作戦に従軍した元・兵隊さんを連れてきて試写したところ、あまりのリアルさにPTSDを発症しかかったという逸話があったりなかったり。

…特に個人的に印象に残っているのが、耳のすぐそばをひゅんひゅん飛んでいく鉄砲の弾の空気を切り裂く音!
確かに実際に戦場に行ったらこうでしょうね。

ぶっちゃけとにかくこの「プライベート・ライアン」の売りはこの場面「だけ」。

みんなこの場面ばかり激賞するんだけど、ぶっちゃけ余り覚えていないくらい印象に残りませんでした。

だってほぼいきなりこれだもん。最後の最後に来るとか、顔と名前が一致するあのキャラこのキャラが次々に無残に死んじゃう場面ならともかく、何の感慨も沸かない。スラッシャー映画以下。

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実は戦場場面で個人的に一番印象に残ってるのは「フォレスト・ガンプ」のそれ。

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映画館で観たんですが、とにかく「限界まででかい音」を出してくれる劇場だったので、本当に爆発音で耳が壊れるかと思いました。
冷静に考えたら「戦場の爆発」がお客の鼓膜に配慮してくれる訳が無いわけで、地響きのようなエクスプロージョンが味わえたフォレスト・ガンプがオススメ。ぶっちゃけ「プライベート・ライアン」の場面なんぞ所詮は演出された場面に過ぎません。

 上で黒家カイミも書いてますが、「フューリー」の方が何が起こっているのかが明白だし、ちゃんと「さあこれから最終決戦ですよ!」と盛り上げてくれるので娯楽性は高いです。

 本物のティーガー使ってる(しかもちゃんと4台がかりでやっと倒せるというカリスマ性の演出アリ)点だけでも「フューリー」の勝ち。「ライアン」のティーガーなんてどうせシャーマンやT34あたりにベニア板貼ったようなニセティーガーなんでしょ?(決めつけ)。

 …一般のお客の反応はその程度なんですが、映画関係者にはスプラッタ戦場描写はよほどショッキングだったのか影響を受けた映画が出まくります。

 一番有名なのが「ブラックホーク・ダウン」でしょう。

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もはや「臓物を弄(もてあそ)ぶ」レベルの凄まじいグログログロ描写に、「AKIRA」で鉄男が膨らむ場面ですら眉ひとつ動かさなかったウチの父すら「…気持ち悪い」と顔をしかめるレベル。

こうなると「残虐競争」みたいな訳のわからんことになってしまってます。

あと、アカデミー作品賞を受賞していないことである意味「映画史に名を残した」この映画ですがこれには裏話があります。

同年のアカデミー賞は「恋に落ちたシェイクスピア」。

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…正直「プライベート・ライアン」よりもピンと来ないでしょ?

それもその筈で、この映画は凄まじいロビー活動によって得票したことで受賞したともっぱらの噂で、これによってアカデミー賞のありかたが議論されるほどになった正にそういう作品だったわけで、この年のアカデミー賞は波瀾含みもいいところでした。

その後、ロビー活動の押収で取った取られたになっていったりする映画以上の泥仕合の話もあったりしますがこの辺でいいでしょう。

ともあれ、あんまりすごい映画だとは思いませんけどとりあえず見ておかないと映画ファンとは言えそうにないという不純な動機でどうぞ。


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