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映画「天国と地獄」感想(黒家カイミ)

天国と地獄.jpg

【天国と地獄】2時間23分
1963年 日本 /監督:黒澤明  出演:三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也

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◇◆ 夫にオススメされて観た映画シリーズ ◇◆ 
〜 黒澤映画編 〜

「7人の侍」など時代劇の印象が強い黒澤明監督ですが、この映画は犯罪映画です。

黒澤監督の作品は、以前もブログで書いたように学生時代に「羅生門」を大昔にレンタル(VHS)で観て、音声もくぐもっていて聞こえにくい&映画自体も単調に感じ・・・眠くなってしまいました。「私のような低俗な人には理解できない映画なのかな・・・」と断念して以来、黒澤映画は観てませんでした。

難解な作品が多く、眠くなりやすい・・・と書くと、コアな映画ファンに物を投げられそうですが、好みの問題なだけと思います。
私は娯楽大作映画やB級の映画、コメディ、ファンタジー、SF、ホラーなどが好きです・・・。わかりやすい映画がいいなぁ。

「黒澤映画は眠くなった」と言ってるのは、批判ではなく、私個人が眠くなっただけです。
しっかりと起きて最後まで観られたら、面白かったのかもしれませんし。


「天国と地獄」の話に戻って
これは犯罪モノという事をブラックウッドに聞いて、「これならいけるかも(眠くならないかも)!」と今回チャレンジした次第です。

観た結果・・・とても面白かった!

上映時間は少し長いですけど、全然飽きない。

次の展開が、どうなるかハラハラします。

ざっくりとしたあらすじ
を書くと、製靴会社『ナショナル・シューズ』社の常務・権藤金吾の子供と間違い運転手の子供がさらわれてしまいます。犯人は、電話で権藤に「身代金三千万円用意しろ」と要求。

警察に助けを求めるんですけど、警察の登場シーンも良かったですよ。抜け目ないな〜と思いました。

権藤は家も抵当に入れ5千万円を用意し、自社の株を購入して会社を自分の物にしようとしていた矢先だったので身代金を出すかどうかで葛藤するんですよね。身代金を払い子供を助ければ、築き上げてきた会社・仕事を全て失ってしまう・・・。

なんやかんやあって(あまり書くと面白くなくなるので・・・)、警察がいろんな手を使い捜査するんですけど、この捜査方法が細やかで「そんなことまで考えて捜査するんだな〜」と感心します。

たとえば、犯人からかかってくる電話を録音しておき、かすかに聞こえてくる「電車の音」を鉄道オタクの人に聞かせて「これは○○線の電車だ!間違いない!!」とか(オタクは役に立つな〜♪)。

犯人が電話の時に主人公の邸宅が見えていた事と、「ここは暑い」って言ってたのを見逃さず、邸宅が見える位置にある公衆電話と、かけてきた時間帯に暑くなる場所にある公衆電話を割り出し特定していったりする抜け目なさ。

この映画、基本は白黒映画なんですけど、犯人を捕まえる手がかりになるキッカケが視覚的にわかる、「あるワンシーンだけ色がつく」ところがあり・・・それが印象深かったです。





さて、子供はどうなるか?犯人はつかまるのか?

ぜひ映画を観てみて確かめましょう〜!

Wikipediaで荒筋見ると、ネタバレしますよ〜。
犯罪モノはネタバレ厳禁。

簡単にまとめると、

時代もの映画の印象が強い黒澤監督・・・けれど「天国と地獄」は犯罪映画(フィルム・ノワール)!!
徹底的に細部まで作りこまれた推理で、スリルある展開が楽しめると共に、
「当時の誘拐罪に対する刑の軽さ(未成年者略取誘拐罪で3ヶ月以上5年以下の懲役)に対する憤り」という監督のメッセージも感じられます。
これまで黒澤映画は敷居高いな〜と思っていた私のような人でも、楽しめる映画ですよ。



(平凡な映画ファンの)私が楽しめたから、たいがいの人は大丈夫。
ミステリー好きな人なら、とても楽しめると思います。



↓下書き+筆ペンで25分ほど描きました。身代金を渡すシーンがスリルがあって面白い!
天国と地獄ほぼ日.JPG


この映画は、監督がたまたま読んだというエド・マクベインの小説『キングの身代金』(1959年、「87分署シリーズ」の1つ)に触発され、映画化した作品だそうです。

キングの身代金 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-11)

映画は興行的には成功を収めたものの、映画の誘拐の手口があまりによく出来ていた為、公開の翌4月には都内を中心に誘拐事件が多発(!)したそうです。
公開は中止されなかったけど国会でも問題として取り上げられます。
1964年の刑法一部改正(「身代金目的の略取(無期または3年以上の懲役)」を追加)のきっかけになったということで、社会へ大きな影響を与えた作品ともいえます。




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