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映画「関ヶ原」を観た!(ブラックウッド)

映画「関ヶ原」.jpg

『関ヶ原』SEKIGAHARA
2時間29分
 
2017年8月、日本 
監督:原田勝人
出演:

↓映画公式サイト
http://wwwsp.sekigahara-movie.com



*一応ネタバレと言えばネタバレですが、関ヶ原の戦いでどっちが勝ったか知らない日本人はいないでしょうから問題無いと思います*

・無謀な試み?

 アイドルグループV6の岡田准一といえば大河ドラマ「軍師官兵衛」

軍師官兵衛 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

の印象が鮮烈だったので、それほど年月も経過していないのにそこで敵役だった「石田三成」役というのはどうかなあ…というのが第一印象でした。

 あ、この「軍師官兵衛」の石田三成は「いかにもな小物」「いかにもな小悪党」「厭味ったらしい腰ぎんちゃく」「陰口ばかり言っている卑怯者」として描かれていました。まあ、従来のイメージはそうですよね。

 そして司馬遼太郎の「関ヶ原」が原作と聞いて「そりゃ無理だ」というのが第二印象。

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

 だって徳川家康の生涯を描いても一冊で収まるのに「関ヶ原」に至るまで“だけ”で文庫本3冊に至る大長編です。

 要はそれくらい徳川家康の権謀術数の凄まじさが凄かった…と言う話。

 そんなもん、長くても3時間の「映画」に収まる訳がありません。仮に収まったとしても要素の半分以上をオミットし、「総集編」のごとく駆け足の消化不良作が出来上がるだけに決まっています。

 俗に「短編小説」くらいのストーリー及び情報量が「映画」の尺には最適だと言うらしいですね。確かにそんな気がします。

 むしろ割と小さな戦場である「局地戦」に絞って映画化した方が見ごたえがあると思います。細かいシチュエーションとかディティールを描きこめますし。「のぼうの城」などはそうしたアプローチを選んだ一作でした。割と好きです。

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 とはいえ、この所日本史に目覚め始めた愛する妻が前売り券を買って来てくれて、勿論興味もあるので早速観賞。


・条件付きなら面白かったです

 なんと「聴覚障害者用日本語字幕」ありバージョンでの観賞…という特殊な環境となりました。

 先日遂に地元の場末の映画館でも成し遂げられた「この世界の片隅に」

この世界の片隅に [Blu-ray]

の上映形式もこれでして、田舎でお年寄り相手に上映する際の定番というところなのでしょうか。

 何しろ「スター・ウォーズ」の最初のテレビ放送の時には場面転換の度に「デス・スター内部」とかいちいちテロップが出ていたそうです。それくらいしないと分からない…と思われてるんでしょう。

 実際、他の映画に比べても館内にお年寄り比率が高かった気がします。やれアメコミのスーパーヒーローとか抜かすいい年こいて筋肉ビチビチのコスプレ男やら、

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何度目のそういう映画なんだか分からない女子高生の恋愛もの

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なんかよりは「関ヶ原」という題材の方が観る気になるでしょう(そりゃな)。

 グダグダ書いてますが、要するに「セリフが全部文字で同時に表示される」というまるで日テレのバラエティ番組みたいになったことで物凄く分かりやすくなっていました。

 というのは、直後に感想を漁ったのですが80%くらいの感想が「セリフが全く聞き取れない」「何を言っているのか分からない」でした。

 時代劇なので人名が長くて難しく、大量の人物が入り乱れるため、私みたいに起こることは大体知ってる人間ならともかく、ほぼ予備知識が無い人がいきなり観ても辛いだろうなとは思っていたのですが、それが現実化した感じ。

 つまり、ここからの評は「日本語字幕付きなら」という条件付き批評になってしまうのです。


・目指すは「シン・セキガハラ」!?

 とにかくセリフが全部「文語調」なんですよ。元が「目で文字を読む」ことを前提とした「小説」なんですが、それをそのまんまシナリオにしちゃってるんでしょうね。

 「文字で読む」ことは思いのほか「受け取ることが出来る情報量」が多く、「音で聴く」だけに比べて遥かに情報量を詰め込むことが出来ます。
 読む側で速度も調整できるし、分からなければ引き返してもう一度読めばいい。

 しかし、この映画では「一度に受け取れる情報量が相対的に少ない」はずの音声セリフであるにもかかわらず、多くのセリフが「文語調」のままです。

 「話し言葉」になってない、「映像作品」になってないんです。

 だから、脳内で一旦「翻訳」するみたいな作業が必要になります。分かるかなこの感じ。

 字幕があったからどうにかなりましたけど、無かったら付いて行けなかったでしょう。

 しかも登場人物たちが…映画の尺が無いこともあってでしょう…物凄く早口なんですよ。まるで早口言葉みたいに滔々と。

 さっきも書きましたが、ほぼ全てのセリフを「脳内で咀嚼(そしゃく)する」必要があるため、それを続けざまに延々やられると、脳がオーバーヒートしそうになり、物凄く疲れます。

 しかもそれでいて、「いかにもセリフを読んでいる」様にしか聞こえない場面がしょっちゅうあります。「感情が乗ってない」もんだから余計にセリフが読み取りにくいんです。

 これは現場で監督が止めてやり直させるべき案件でしょう。

 同様の現象は「シン・ゴジラ」

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でもしょっちゅうありましたが、あちらは「クールキャラの喋り方のパロディ」みたいなもんだし、何より「字幕が必要でない」程度には難易度も低かったですからね。

 それでも「日本語字幕付き上映」(こちらは聴覚障害者に配慮したのではなくて純粋にセリフを楽しむためだそうです)で「あ、この場面ってそういうことを言っていたんだ!」と気付いた方多数だったとか。

 原因は幾つも考えられますが、現代の役者さんたちの「口跡」がハッキリしないことや、録音レベルの低さなどが候補でしょうか。

 幸運にも字幕付きで観賞する機会に恵まれたのですが、もしもセリフが全く聞き取れないまま2時間過ごす破目になったらさぞ苦痛だったと思います。

 割と冗談でなく「最初から字幕前提の映画」があっても構わないと思います。個人的には「聴覚障害者」云々は単なる言い訳で、恐らく全国から殺到した「何言ってるか分からない」苦情に応えて字幕版を上映するようになったと踏んでいるのですが…どうかな。


・初芽はジャー・ジャー・ビンクスか?

スター・ウォーズエピソード1 コムテックフィギュア ジャー・ジャー・ビンクス

 黒田側の間者として設定されていた有村架純演じる「初芽」は何故か忍者扱いになっていて、いらん「忍者アクション」と、ただでさえ時間が無いのに中途半端なロマンスを挿入して硬派な観客をイラつかせます。

 冒頭の処刑場シーンなどのアレンジは特に悪いとは思いません。映画「ジュラシック・パーク」

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でも冒頭に原作にない恐竜逃亡(未遂?)事件の迫力あるシーンを入れ込んだりして「これが映画なんだ」と驚いたものです。

 適正にやれば数時間は掛かる原作を2時間でやろうというのですから、この際初芽関係のエピソードは全部バッサリやっちゃっても良かったんじゃないでしょうか。

 まあ、そうなると画面が異様におっさん臭くなりますが戦国合戦ものですからね。

 有村架純の存在

1964年の有村架純 NHK連続テレビ小説「ひよっこ」愛蔵版フォトブック (新書企画室単行本)

がある種観客アピールになるという理屈は分かるんですが、恐らくこの映画の一番のお客である「戦国ファン」「時代劇ファン」にとっては雑音だったのではないか…と思ったりします。

 最後の最後までこの映画の「軟派」な部分を引き受けてかなりのヘイトを集めてしまうことになった初芽関連場面。有村架純に罪は無いと声を大にして言いたい。

 パンフの記述を信じるなら監督もその可愛らしさにメロメロだったみたい。何だそりゃ。

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・まるで「関ヶ原名場面集」

 観る前から予想は付いたんですが、とにかくチャカチャカと場面が切り替わり続け、まるで「名場面集」です。

 一年間のテレビシリーズとまでは言いませんが、元が10時間あるミニシリーズの「総集編」みたいな印象。

 私みたいに中途半端に歴史をこじらせた知ったかぶり人間なら「ああ、これはあの場面か」とかまるで「答え合わせ」するみたいに分かりますけど、全く予備知識が無い人には分かりにくいんじゃないでしょうか。

 それでいて「小山評定」などはカットされていたりします。指摘されるまで忘れてました。まあ、あの場面を入れる場合は福島正則と山内一豊についてしっかり描いた上で前夜の福島正則への「打ち合わせ」シーンまで入れる必要があるのでカットしたことで30分は節約できたと思います。
 思いますが、あれこそまさに「権謀術数」の最たる象徴的な出来事なので入れて欲しかったなー。

 敢えて「大局的に理解させる気が無い」としか思えませんでした。それはそれで方針としては「アリ」です。

 状況に流され、歴史に翻弄されて右往左往する人物たちの一挙手一投足を描くのもありでしょう。

 場面によっては、まるで「本当の関ヶ原にカメラを持ちこんだらこうだったんだろうな」と思わせてくれるものもあります。

 ただ、あくまでそれは錯覚です。

 というのは、例えば今回は実在する古い建物でロケをしている訳ですが、この当時は当然ながらこんなに古くなっている訳が無いので時代考証的におかしい…とかね。

 今回の映画には赤母衣衆・黒母衣衆を再現した騎兵も出てきますけど当時日本に自生していた馬はあんなに大きくありません。なのでその時点でウソなんですけど、そこは目をつぶるのが大人というもの。

 それよりも「刀より槍を使ってる」とか「火縄銃やクロスボウ・ガンを撃った直後に背後に控える者から装填済みを受け取る」とかのシチュエーションに興奮しましょう。


・編集に難あり

 ただ、はっきり言って「編集には難あり」です。

 まだ喋っている人がいるのにバラエティのオチみたいに「ブツッ!」と切ってみたり、妙なタイミングで画面が黒くフェードアウトして消えたりします。

 たまに海外ドラマとかをDVDソフトなどで観賞していると、「ああ、多分ここで本国だとコマーシャルが入ったんだろうな」と感じることありません?あんな感じ。

 全体的に「ここで場面が切り替わるんだろうな」と感じさせるタイミングより「半拍」くらい早い感じ。
 なので非常に生理的に気持ち悪く、より「総集編的」な印象になってます。「ああ、ここはこの時点でカットされちゃってるけどこの後に面白いシーンが来るんだけどなあ…仕方ないよね。総集編じゃ。時間もないし」みたいな。


・1981年TVドラマ版「関ヶ原」(TBS開局30周年記念)

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 感想を読むにみんなボロカス言っている中、同作を比較の引き合いに出す人が本当に多かったです。
 なのでTBSオンデマンドで有料ソフトを購入する形で視聴。

 とにかく出演者の豪華さが凄まじくて「まるで映画」という形容が陳腐に聞こえます。

 私でも分かる代表的なところを列記しただけでこれです。

東軍
徳川家康 森繁久彌
本多正信 三國連太郎
福島正則 丹波哲郎
加藤清正 藤岡弘
細川忠興 竹脇無我
堀尾忠氏 角野卓造
山内一豊 千秋実

西軍[編集]
石田三成 加藤剛
島左近 三船敏郎
宇喜多秀家 三浦友和
小西行長 川津祐介
安国寺恵瓊 神山繁
直江兼続 細川俊之
丹羽長重 矢崎滋

etcetc…(敬称略)

 見比べてみると、同じ原作を使っているので当たり前ではありますが同じセリフ、同じ場面が何度も出てきます。

 感想としては「やっぱりこれくらいは時間を使わないと駄目だよな」と言うのが率直な感想でした。

 各約2時間で全3部作。合計6時間30分(!!)。今回の映画の3倍近い時間です。

 貫録ある名優たちの共演の説得力の物凄さ。主要登場人物は正に「全員が主役級」です。

 そして、当然ながら日本語字幕なんか無いのに聞き取れなかったセリフなど全くありませんでした。どうして2017年の映画版でこれが出来ないのか。

 司馬遼太郎作品はみなそうですが、作者が必要以上に「地の文」に登場してきます。

 「竜馬がゆく」

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で突然、「作者が取材旅行をした時のタクシー運転手との会話」が始まった時には本当に驚いたものです。

 この1981年版ドラマも同じで、ナレーションと言えばこの人!の石坂浩二の名調子でメタ視点のナレーションが入る構造も全く同じです。

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 4:3のテレビサイズ画面とシンセサイザーみたいな物凄く安っぽいBGMが合戦場面だろうが会話シーンだろうがのべつ幕なし延々と同じ調子で流れ続ける以外は文句の付けようのない力作でした。

 欠点があるとしたら、島左近役が三船敏郎なんで「こりゃ西軍勝っちゃうだろ」と思えることくらい(爆)。ちなみに「八時だョ!全員集合!」に出演して「ヒゲダンス」まで披露したのはこの番組の宣伝のためだそうです。

 なるほどこれと比較されるのは辛いでしょうねえ。ちなみに1981年といえば最初の「ドラえもん のび太の恐竜」が封切られた年でもあります。

 言ってみれば「テレビ映画」なんですが、別にだから悪いなんてことはありません。スピルバーグのデビュー作「激突!」だってテレビ映画です。

激突! [Blu-ray]
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 それに、テレビならではのメリットまであったりします。

 役名と役者名が基本的に初登場の人物には付くんですが、「役名よりも役者名の方が大きく表示される」という「豪華キャスト」を「これみよがし」に誇る節操の無さがいかにもテレビ映画的。ただ、そのおかげで私たちみたいに放送時には物心ついていなかったみたいな後世の人間にも「ああ!この人って!」と驚けます。

 そして、それこそ「お年寄り、子供」にも配慮した結果なのか「地図」や「戦場の配置図」を多用して戦況を分かりやすくしようと心掛けてくれます。

 ちなみに「裏切りの決断を渋る小早川秀秋に鉄砲を撃ちかけて促した」という「史実」は最新の研究によると否定的とのことで映画版では採用されていませんがこちらでは採用されています。この辺は時代ですねー。

 元々しっかり時間を掛けているのに、そこまで「分かりやすい演出」を心掛ければ分かりやすくなるに決まっています。
 とはいえ、これは映画が不利です。そんなもの画面に出した瞬間、「分かりやすさ」の犠牲として「安っぽく」なるので映画に於いてはやりにくいので。

 あと、台詞は基本的に同じなのにどうしてこんなに聞き取りやすいのか考えたのですが、速度を30%ほど遅くして、台詞と台詞の間に適度な「間」を取ることで聞き取り易さは倍も違います。それもこれも上映時間の差ってことになっちゃうのかなあ…。

 因(ちな)みに今回の映画版と一番違うのは三成と初芽のベッドシーン(時代劇なので布団シーン?)まであること。岡田くんはここが一番不満だったりして(えー。


・映画っぽい映画

 あれこれグダグダ書いてきましたけど、口を極めてこの映画を罵らんがごとくの方々はちょっと厳しすぎるんじゃないかと思います。

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 確かにセリフが激しく文語調でしかも聞き取りにくいという大きな欠点こそあるものの、それ以外は結構凄かったですよ。

 あ、字幕版だと「セリフの主」(誰が喋ったか)も全部表示されるのでその点も助かりました。む~ん、それも分からないってのはやっぱり問題かぁ…。

 BGMは重厚だし、合戦シーンに動員された人数は膨大だし。

関ヶ原

 決して何もかも全部説明しないのも「渋い」雰囲気がします(何だその感想)。

 何だかんだ言って合戦が始まれば結構燃えるし。

 「あのシーンが無い」「このシーンが無い」というのは贅沢というものだし、三成の描き方が気に入らないとか、大谷吉継の解釈が甘いとか、合戦のスタイルが当時と違うとか、まあ色々。

 確かに、最後の最後、落ち武者狩りを逃れて民家に匿われた形になった三成が半ば観念したかの様に通報を促す下りも、「なら何故戦場から逃亡したか」という「史実」と統合性が取れません。あ、でも頑張れば可能…かな。いや、やっぱり苦しいと思います。

 三成を主人公側として描くならもっともっと家康を憎たらしい悪として描く必要があり、しかも全く容赦なく史実を描写するだけでそれが簡単に出来るのに何故しないか…という評は確かに説得力はあります。

 でもそれって「自分の歴史解釈と違う」から叩いてるってことですからね。

 …でも、「生真面目故に自滅した」忠義の武士ではあったものの江戸時代を通じた「豊臣ディスキャンペーン」の犠牲になって悪く伝えられた…ことまでほのめかすテレビ版にここも軍配が上がっちゃいますね。
 何しろ江戸自体は皇室すら下げていたんだから三成なんて“小物”(失礼!)は極悪人扱いするでしょ。

義に生きたもう一人の武将 石田三成


 それらを全部差し引いても私はこの映画を観たことを全く後悔していませんし、オススメかオススメじゃないかといえばオススメです。

 1981年版を全部観た上でテレビの「関ヶ原(2017)」の「公開記念特番」観ましたけどやっぱりハイビジョン画質で重厚で、迫力があるのは間違いありません。



 何だかんだ言っても画面が格好いいです。BGMも燃えるし。場面場面単独なら黒澤映画観てるみたいな感慨に陥ることもあります。ちょっと褒め過ぎかな。

 ただ…、東軍・西軍の主だった武将を一通り把握し、「関ヶ原の戦い」について一応の知識を持った上で字幕版を観ないと辛いんですけどね。

 場面場面は凄いんだけど、それらが全部寄り集まった「映画」としての完成度には若干問題を抱えているというところでしょうか。


・総論:企画としてどうだったか?

 パンフレットを読むと、主人公は最終的に石田三成に収まったものの企画として誰を主役扱いするかは二転三転したのだそうです。
 島左近が主役だったりしたバージョンもあったそうで。

 かなり迷走…です。そして、結局石田三成に落ち着いたことで伝説の1981年のテレビ版のリメイク…というか「後追い」にしかなりえないことが確定してしまいます。

 あのドラマの意義は「悪役」として描かれることが多かった石田三成を「忠義の武士」として描くことに意義があった訳です。定説を覆し、意外な解釈で描く目新しさが最大のポイントだったと。

 その為、多くの「三成イヤな奴エピソード」が軒並み使えなくなってしまいました。この映画においても「どうしてこの人があんなに嫌われたんだろう?」としか思えないです。

 またテレビ版との比較になってしまいますが、あの戦闘民族としか言いようのない薩摩武士たちが全く戦力にならなかったのは三成の完全な指揮のミス。
 夜襲の進言をはね付けたことが機嫌を損ねた原因とされていますが、その際に「何もそんな言い方をせんでも」というほど侮辱的な言い草だったためだったと伝わります。

 これもまた「三成イヤな奴エピソード」の筆頭ですが、「ドリフターズ」とか読んでると「戦争バカ」「イノシシ武者」「脳まで筋肉」の薩摩連中がちょっと難しい表現を使われた程度のことを勝手に腹を立ててたんじゃないか?という疑問も湧いてきちゃったりします(冗談なので本気にして怒らないでくださいね)。

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 「失礼な表現で小ばかにしたから島津が激おこして非協力だった」とかも江戸時代につくられた反三成キャンペーンのせいだったりとか。

 ま、三成に「戦闘」のセンスが無かったことは間違いないのでしょうが。

 閑話休題。

 割と冗談でなく、現代の高校生が超能力を持って関ヶ原の戦場にタイムスリップするとか、何らかの「新機軸」を打ち出さないと。


きょうびベタに「関ヶ原の戦い」を映画化なんつっても中々興味は引かないでしょう。まさか「初芽を女忍者扱いにする」ことが画期的なアイデアだとは言いますまい。

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 あと、とにかく「戦場がどこでどうなっているのか」は私みたいなこじらせ戦国ファンはなんとなく分かってますけど、「図」を表示して分かりやすくしてもいいと思います。テレビではやってたんだから。
 大河ドラマでも「真田丸」あたりからもう遠慮なくやる様になって来てます。

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 それこそ現在のウォーシミュレーションゲーマーがやっていたゲームが実は本当の「関ヶ原の戦い」だった…とか。

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 馬鹿馬鹿しく感じるかもしれませんが、そこまで突飛な設定なのに鬼のような考証でがっちり固めるとかアプローチの方法はあると思います。

 やっぱり無謀だったかなあ…。


オマケ

 何しろ日本最大の合戦ですし、戦国時代末期の綺羅星のごときスターたちの大共演なので昨今注目を集めたマイナー(失礼!)武将たちも沢山でてきます。

 気付いたところだけご紹介。

・真田昌幸(さなだ・まさゆき)
 大河ドラマ「真田丸」で一気に知名度を上げた「真田幸村(信繁)」のお父さん。真田パパですね。実質的にこの15年後の「大阪冬の陣・夏の陣」しか目立った功績の無い幸村よりもパパの方が重要人物との評も。
 ご存じの通り関ヶ原の戦いの時期には「上田城」にて東軍主力の3万5千人を張りつけにして合戦に到着させないという大功労を挙げます。
 この「東軍主力が関ヶ原の戦いに間に合っていなかった」というのは最近確定した説らしいのですが、セリフのみとはいえちゃんと言及してくれてます。
 西軍に真田パパがあと3~4人いたら戦況は変わっていた…ってことはないか。
 ちなみにこの顛末は「徳川秀忠に大局観が無かったための判断ミス」とされることが多いのですが、大河ドラマ「真田丸」においては必ずしもそうとは描かれていませんでした。
 敗者にやさしいドラマなのでそれはいいんだけど、お蔭で真田パパの真骨頂にして最後の見せ場だったこの戦の意義が分かりにくくなってたのは残念でした。

・井伊直政(いい・なおまさ)
 マイナーじゃありませんけど一言。
 現在(2017年9月)絶賛放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」において、主人公井伊直虎(いい・なおとら)が庇護していた徳川四天王のひとり。大河ドラマ中ではまだまだ幼いんですが、この映画の時期にはすっかり成長して活躍してくれてます。
 ちなみにこの関ヶ原の合戦で受けた傷が元で2年後に死去。
 あの「安政の大獄」を策謀し、「桜田門外の変」で討たれた幕末の大老、井伊直弼(いい・なおすけ)は子孫にあたります。

・島津豊久(しまず・とよひさ)
 漫画「ドリフターズ」の主役。

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 地元鹿児島でも余り知られていなかった武将だったそうですが、少し喋るシーンがあります。まあ字幕で表示されないとまず分からない程度ですが。
 映画では石田三成目線なので関ヶ原の戦場があの後どうなったのかは描かれていませんが、あの後島津勢は敢えて東軍本陣の目の前を横切る様に敗走し、多くの犠牲者を出します。
 ただ、これによって徳川勢は震えあがり、「島津(薩摩)は何をやらかすか分からん」と恐れられる遠因になったとか。
 外様大名として江戸時代には不遇をかこつことになるのですが、その後幕末に於いて「薩長土肥」の一角として明治維新を成功させるのは皆さんご存じでしょう。

・可児才蔵(かに・さいぞう)
 「笹の才蔵」と呼ばれる武将。取った首が多すぎて、自分が取った証拠として「口に笹を加えさせて」放置していたのでそう呼ばれます。関ヶ原で上げた首級は17にも及んだのだとか。そりゃ持てんわ。
 目を凝らしてエンディングテロップを観ていたら名前がありました。どこに出てたのか全く分かりません(爆)。


 同時期に東北では上杉景勝&直江兼続(&前田慶次郎)と結城秀康が睨みあい(対決は実現せず)、九州では黒田如水(官兵衛)が挙兵していますが、結末は皆さんご存じの通り。

 あと、当然未登場ですが「関ヶ原の戦い」には若き日の宮本武蔵が一兵卒として参戦しています。後の「島原の乱」では大軍を指揮することになる武蔵ですが…流石にそれをちらっと映すみたいなサービスはしてくれないか。
 漫画「ベルサイユのばら」では態々(わざわざ)史実を捻じ曲げてまでオスカルと若き日のナポレオン・ボナパルトの会話シーンを作ってくれる(フランス革命当時ナポレオンはパリにいない)くらいのサービスはしてくれたんですが。


 これからも「関ヶ原の戦い」をモチーフにしたフィクションは作られ続けて行くでしょう。
 映画「関ヶ原」(2017)の字幕版はその中にあって存在感を示せる一品…だと個人的には思いますってことで。

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