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映画「アメリ」を観た(ブラックウッド)

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*刺激的なジャケットも掲載するので一応閲覧注意で*

 映画「アメリ」というと、あの子供みたいな笑顔でスプーンを翳しているアートワークが真っ先に思い浮かぶフランス映画ですね。

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 なんだか今では「可愛らしいオシャレ映画」みたいな扱いになってますが、映画ファンならみんな知ってる曰くのある作品だったりもします。

 何と言っても配給があのアルバトロスフィルムだということですね。


 どうやらシナリオや梗概(ストーリーのあらましみたいなもの)を読んだだけで買い付けたんだそうです。
 監督のジャン・ピエール・ジュネの作風と言えば「デリカテッセン」

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とか「エイリアン4」

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とかなんで、

「アメリという少女が人肉を食らうゲテモノ映画」だと思い込んで買ったのだそうです。

 フランスでは国民的な大ヒット映画で、フランス大統領が開催する上映会が開かれるは、「聖地巡礼」よろしく舞台となったカフェが閉店寸前だったのが大好評になるわ、周囲の地価が上昇するわと大変なことに。




 特に「国民的ヒット」というのがポイント。一部の映画ファンだけが熱狂的に支持したカルト映画じゃなくて、大げさに言えば老若男女が観た映画ってことですね。

 それこそ日本で言えば去年の「君の名は。」みたいな感じなんでしょうか。

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 それじゃあどうしてそんな映画をアルバトロスが配給出来たかってことです。

 だってあのオシャレの本家本元みたいなフランスで国民的大ヒットってことになれば大手が放っておかないじゃないですか。後述しますけど確かに若い女性にアピールするポイントは沢山あるし。

 どうやら業界内では「あのアルバトロスが手を出したくらいだからゲロゲロのクソ映画に違いない」と思われて大手はビビってどこも手を出さず、試写すら行われず放置されたらしいんですね。

 何しろアルバトロスといえば「人肉饅頭」とか配給してるところです。

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「女子高生チェーンソー」とか

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「殺戮職人芝刈男」とかですよ。

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 それこそ「スイーツ女子」みたいな人が「この配給会社って素敵だから他の映画も見てみましょ!」なんてやったらひきつけ起こすんじゃないかというラインナップです(現在は「アメリ」の成功体験からアート映画も多く手掛けているみたいです)。

 実際「アメリ」と同時期に「えびボクサー」とか

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「クイーン・コング」とか

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も手掛けてますし。


 私みたいなロクでもない「映画秘宝」とか毎月読んでるド腐れ映画野郎なんかはその辺りの文脈が何となく分かるので思わずニヤニヤしちゃう感じ。

 何というか、普段はゲテモノ扱っているお店が「手違い」で女子中学生の可愛い下着セットを売り出したら史上最大の大ヒットになっちゃって、スイーツ女子に大評判できゃーきゃー言われてるみたいなイメージでしょうか。

 なので映画ファンは「いや…そこはそういうお店じゃないんだけど…」と冷や汗をかいている感じ。

 アルバトロスフィルムの叶井俊太郎さんと言えば「だめんずウォーカー」

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で有名な「くらたま」こと倉田真由美さんの旦那さんです。

 この方の破天荒さは聞くだに物凄いものがあって、私みたいな小市民は仰ぎ見るばかり。

映画突破伝―「人肉饅頭」から「クイーン・コング」まで (映画秘宝COLLECTION (16))

ちなみにドラマ「東京ラブ・シネマ」の主人公のモデルと言われています。

東京ラブ・シネマ 1 [DVD]
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 …ところが、ウチの妻はその辺りを全く知らなかったそうです。

 ただ「何かヘンな映画だな」とは薄々思ってたみたいです。詳しくはこちらをどうぞ。

映画「アメリ」の思い出と感想(黒家カイミ)

 ま、確かに製作者ならともかく、配給会社がどんなんであろうとお客には関係ないですからね。


*****

 こっからネタバレ一応ありで内容の話を少しだけ。

 キャッチコピーが「幸せになる」ということもあって、人一倍思い込みの激しい少女(…というには成人済みだし、結構年は行ってるんですが)「アメリ」がおせっかいながら他人を幸せにしようと奮闘し、最後には自分も少しだけささやかな幸せを手にしました…みたいなストーリーを想像するじゃないですか。 

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 ま、一応ストーリーラインとしてはそれで間違ってないんです。

 なんだけど、作風が結構ブラック。

 死亡ネタが軽く入って来るし、フランス映画らしくセックスシーンも(あっさりめとはいえ)多数。これ、フランスでは国民的大ヒットってことだけどフランスの子供も観たんですかね。

 一言でいうと「キモカワイイ」映画です。

 個人的にはきゃりーぱみゅぱみゅみたいなセンスと言うと一番しっくりきます。



 きゃりーのPVとかって一見すると可愛く見えますが結構あちこちにドクロマークが入ってたりと不穏ですからね。それでいて本人は可愛いという。


 実は前々から「『アメリ』が何だかオシャレなスイーツ映画みたいな扱いを受けてるのはどうなんだろう?結構マニアックな映画だと思うんだが」と思っていました。

 ただ、改めて観返して分かったんですがなるほど確かに若い女性にウケそうな要素は沢山ありました。

 特にオドレイ・トトゥという女優さんの「撮り方」ですね。

 この映画はちょっと不自然なくらい「どアップ」が多いです。




 「人物はほぼ顔しか画面に映っていない」みたいな。




 普通の会話シーンなんだからもうちょっと引きのショットとかせいぜいバストアップ(胸から上を撮る)でいいんじゃ…と思うんですが、カメラに密着するみたいに撮るんですね。

 このアングルどこかで観たことあるなーと思ってたら思い出しました。「アイドルのPV」ですね。最近はPV(プロモーションビデオ)じゃなくてMV(ミュージックビデオ)というらしですが。



 これは女優さんの「顔」によほど自信が無いと無理です。

 アイドルファンはアイドルの「顔」を丹念に観賞したいのでこうした映像を好みます。 

 アメリは劇中で何度も酒を流し込みますし、セックスシーンすらある「成人女性」なんですが、お馴染みクリームブリュレを叩き割る直前のあのスプーンを掲げるショット

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*結構映画の序盤にこのシーン出ちゃいます

に代表される通り「若作り」というか「年齢不詳」な魅力があります。

 はっきり言えば「可愛い」んですね。子供にも見えます。この時点で女優さんも二十歳越えしていて今はもう四十なんですが。

 当然お肌もぴっちぴちですし、恐らくはメイクもバッチリなのでどアップに「耐える」どころかアピールポイント。
 この映画の見所の一つは「オドレイ・トトゥの可愛い顔を観賞すること」になってます。

 なのでこの映画を観終わった直後の感想の第一として「アメリ可愛い!」が来るのは良く分かります。
 アイドルMVと同じで「アメリの可愛らしさ」を強調する作りになってるんだからそう感じるのは当たり前なんですね。

 ただ、その時に「照明」が結構おかしな方向から当たっていたりします。




 「真横」とか下手すると「下」から。

 人間は普段慣れていないライティングには不安を覚えます。怪談話をする時には懐中電灯を下から当てたりしますよね。

 なので、「可愛い」と同時に「何となく不気味」も感じる奇妙な映画になってます。

 これはジュネ監督の作風みたいなもので、恐らくアメリの可愛らしさをアピールしたのは、背景の不気味さとか不穏さとのコントラストを見せつけるためだったんじゃないかと思います。

 それが結果として「アメリの可愛さ」が勝ってしまったと。



 私が若いころの「可愛いフランス女優」といえば何と言ってもシャルロット・ゲンズブールでした。

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 アニメの登場人物みたいな「シャルロット」なんて名前の人間が実在することに感動するほどアホでガキだったことを思い出します。しかもあの美少女ぶり。

 忘れもしない「お前絶対普段は映画とか観ないだろ」という友人でも「なまいきシャルロット」とかビデオ持ってたりしました。

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 しかもそこはフランス女優だから普通に脱ぐんですね。なので「儚げな可愛らしさ」と同時に「エロさ」も感じさせるのがたまらんかった訳です。

 しかし、オドレイ・トトゥはとてもじゃないですがシャルロットみたいな感じじゃありません。年齢不詳の若作りってこともありますが、少なくとも「アメリ」だけで判断してしまうと「ヘン」という印象。

 実際に「アメリ」を観賞してみると分かりますが、オドレイ・トトゥさんは結構すらりとした長身で頭身も高いんですね。
 はっきり言って非常に「細い」印象。

 この辺がまた顔の雰囲気も相俟って正に「女性に人気のある女優」と言う感じ。これもまた受けた理由でしょう。
 何というか「男にかしずく」はかなさというよりはマイペースな感じもね。
 
 なら男はどんな女優さんが好きかと言えば、ここまで細いんじゃなくてもっとエロい方が好きです。勝手だな。



 アイドルもそこそこ好きですけど、アニメファンとして見ると、アメリのエキセントリックぶりというか造形がまんまアニメキャラみたいで面白いです。

 メイクとライティングで真っ白に飛んだ肌のシミひとつないビジュアルは正にアニメキャラ。個性的…というかヘンテコな髪型に大きな目はずっと見ていても飽きません。




 ぶっちゃけた話、女性の顔って結構日によって「好不調」があるんですが(すいません!)、アメリは2時間強の間ほぼこのレベルを維持します。
 俗にいう「作画が安定している」(*)って奴です。

(*アニメファンが使うスラングで、女優さんやアイドルにも使いますが主に声優さんに対して使うアニメになぞらえた褒め言葉です)

 しかも流石はオシャレの本家本元のおフランスだけあって服もオシャレで、ファッション誌で映画衣装や登場する小道具の特集が組まれたりしたこともあったとか。

 要は普段はビザールでワイアードな作風の監督が、恐らくは「コントラスト(対比)」を強調するために可愛い女優さんを中心に据えたために結果として「オシャレ映画の衣をまとう」ことになった幸運な映画だと思います。

 だって、やってることは基本的にいつもと同じなので…。

 中心人物は主人公を筆頭に変人ばかり。いや、変態ばかり。

 恋愛に発展するかと思いきや、今で言う陰気キャラ全開なため半ばストーカーです(爆)。

 自分で声を掛けておきながら反応があると「違います」と物陰に隠れちゃうのは、シャイな性格っぽくて可愛いと言えば可愛いけど…。

 一応最後はひっついてめでたしめでたし…と言う風にも見えますけど、これ観て女性が「わぁ素敵!」となるとは思えません。
 だってどっちも変人同士だし…。

 男の方の趣味なんて、言ってしまえば「ごみあさり」ですからね。フランス映画じゃなかったら女性ドン引きですよ。

 これが見た目だけは割とまともに見える俳優さんだったからいいけど、演じてたのがガリガリガリクソン




とか南海キャンディーズの山ちゃん




だったら逮捕ものでしょ(失礼)。

 いいなあフランス男は。



 とはいえ、とても面白い映画です。

 食わず嫌いをしている普段は怪獣映画しか観ない様な男性がいたらそんな人にもオススメしておきます。





*ネタバレあり追記*

 劇中、アメリが「人を幸せにするため」の仕掛けを打ちまくるんですが、敢えて意地悪をしている人は問題ないんですが、明らかに一人「幸せにしてあげよう」として不幸(?)になっちゃってる人がいます。
 これが「関わった人全員を何らかの形で不幸にしたり、結果として殺したり」するブラックコメディ映画ってのもあったでしょう。アルバトロスフィルムとしてはせいぜいそういうのを期待していたんでしょうが、幸か不幸か(?)関わった人の大半を(自分含めて)幸せにします。
 このさじ加減が受けた理由なのかもしれません。


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